前回までのあらすじ
六実美香(むつみみか・みみか)は
異日本で手に入れた力を残したまま元の日本へ戻っていた。
元の日本においてその力は異能であり忌まれるものであった。
みみかは次第に孤立する。
異能の最大の理解者、八ヶ崎美羽(はちがさきみう)もこの日本にはいない。
みみかにとって美羽の存在は大きい。
親友であり戦友であり、そして憧れの対象でもあった。
みみかの孤独と憧憬は最悪の方向へ発露してしまう。
すなわち破壊である。
「わたしは美羽を愛している」
捻れた愛情は荒れ狂う力の具現を呼び、
日本を文字通り二つに裂いてしまった。
引き裂かれた因果律とみみかの渇望により美羽が召喚された。
最も最悪の形で実現した再会。
「これで美羽はわたしのものだ」
心に深い傷を負っていたみみかを美羽はそっと諭す。
「それは愛じゃない」
裕二との愛を知る美羽にとってみみかは酷く矮小に写った。
その決定的な成長の差がみみかを逆上させる。
しかし美羽にはその差を自覚できないでいた。
成長の置いてきぼりを痛感したみみかには美羽の一挙手一投足が煩く見え、
ついにみみかの世界は壊れた。
異能はイメージを具象化する能力である。
壊れたみみかの心は現実へと投影され地球が割れた。
きわめて理不尽に、人類は滅亡の時を迎えたのである。
美羽とみみかの決定的な成長の差。
まずは美羽がそれを自覚しなければならなかった。
そうでなければ美羽はみみかの孤独を理解できず救う事も儘ならない。
美羽はみみかの心へダイブし、その悲しみの根源に触れ、理解した。
そして悲しみを全身全霊で受け止めた。
みみかが開放される。
愛はつなぐ力
有と有とをつなぎ無から有を産み出す力
みみかと美羽が有である限り、そこには愛があり有を生み出す事ができる。
いま、有の糸が割れた地球を縫う。
「わたしは愛する人の許へ戻る」
美羽は言い残して消えた。
「つながっていれば、離れていても愛は生まれる・・・」
みみかは荒野となった地球に只独り残った。
つながる力を生み出すための新たなイブとして、
地球の妻として、
創世の物語を一から紡ぎ直す決意を固めた。
美羽はもう一つ別のつながり
日常という愛の積み重ねを裕二と共に紡いでいくのだった。
このあらすじはフィクションです